KISA2隊創設者守上医師が「TIME 100 CEO HORIZEN」に選出されました!

この度、KISA2隊創設者/OYAKATAの守上佳樹が、2025年4月20日発行の米国「TIME」誌(アジア版)特集「TIME 100 CEO HORIZEN」に掲載されました!

世界的に影響力を持つ100名の卓越した人物を紹介する本特集には、世界中で革新的な挑戦をするリーダー100名が名を連ね、その中の一人として選出されました。

掲載記事はこちら:   CEO HORIZEN – Yoshiki Morikami

以下、和訳本文を掲載いたします。

紹介

守上佳樹
よしき往診クリニック/KISA2隊OYAKATA
院長/OYAKATA

歴史

当クリニックでは、主に訪問診療による在宅医療に力を入れております。専門は老年内科であり、急性の病気から慢性疾患まで幅広く対応しております。日本は今や超高齢社会となり、近くに病院があっても、ご自身で通院することが難しい高齢者が多くいらっしゃいます。こうした背景から、在宅医療の需要は高まっています。
しかし、そのニーズに応えられる医療提供者は依然として限られています。
そこで当クリニックでは、多職種チームを構築し、他医療機関とも連携しながら、24時間365日のケアを提供しております。機能強化型の連携在宅診療所として、地域医療を支える重要な役割を担っております。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生した際、日本の高度な在宅医療のレベルが国際的な注目を集めました。
特にアジア諸国からの関心が高まりました。これは現場の医療従事者の尽力だけでなく、日本が積極的に在宅医療の実践データを世界と共有した結果でもあります。
当時、医師が政府や医療ネットワークと連携して訪問診療を行う調整されたシステムの構築は、まだ比較的珍しいものでした。

現在、当クリニックは京都市西京区に深く根ざしております。
しかし、地域医療への関心は、医師としてのキャリアを始めた当初から持っておりました。
良い医療とは、患者様お一人おひとりの価値観、生活環境、家族関係を理解することだと、常に考えてまいりました。

この信念が原動力となり、かかりつけ医が地域全体の健康を支える中心的な役割を果たせる体制づくりに貢献したいという思いを抱いてまいりました。

現在

当クリニックでの往診提供に加え、私が注力している取り組みの一つが「KISA2隊」です。
2020年12月、京都で痛ましい事例が発生しました。80代の高齢患者がCOVID-19に感染したものの、入院先が見つからず、自宅で亡くなられたのです。
このような状況に対処するため、私はCOVID-19の在宅医療対応チーム「KISA2隊」を設立しました。
自治体、医師会、急性期病院、訪問看護サービス、薬局と緊密に連携し、入院できない患者様への医療提供を行いました。

KISA2隊は当初、新型コロナウイルス感染症への対応を目的に結成されましたが、パンデミックが収束し緊急性が薄れた後も、私たちの活動は止むことはありませんでした。
例えば2024年の能登半島地震では、約50名のメンバーが現地に赴き52日間にわたり支援を行いました。
こうした経験を通じて、私は三つの要素の重要性を痛感しました。
それは「中央集権的な調整」「強固な連携」「大胆なリーダーシップ」です。
緊急時にはこれら三つが不可欠です。平時と同様の運営を無理に維持しようとするのではなく、 むしろ、意思決定の集中化、避難所の統合、対応のあらゆる側面の調整など、業務の効率化が求められます。
このような状況下でのリーダーシップとは、集団のエネルギーをどこに、どのように集中させるかを決断することです。危機においては、わずかな躊躇さえも深刻な結果を招きかねません。
だからこそ、「何があっても必ず成し遂げる」という信念を持って行動する必要があるのです。
こうした状況では、考えすぎる前にまず行動することが求められます。
そして率直に申し上げますと、この迅速かつ決断的なアプローチこそが、現代に求められる姿勢なのかもしれません。

現在、KISA2隊には日本全国から集まったメンバーがコミットしています。
私たちの特徴の一つは、医師や看護師だけでなく介護職員、医療分野外の専門家までが協力する「職種を超えた連携」にあります。数年前と比べ、多職種チームを構築することが容易になってまいりました。
次の課題は、真に効果的なチームとなることです。患者のニーズに応えるため、揺るぎない献身をもって行動するチームとなることです。

未来に向けて

日本の人口減少が続く中、今後数年間で医療システムが進化する必要があることは明らかです。
在宅医療の需要は増加すると予想されますが、その最適な提供方法は地域によって異なるでしょう。
各地域の特性に応じた在宅医療の最適なモデルを模索し、確立するための全国的な取り組みが進むと確信しております。

また、急速な高齢化社会の課題に直面しているのは日本だけではない点も認識すべきでしょう。
多くの国々が同様の問題に取り組んでいます。とはいえ、在宅医療の分野において日本が主導的な役割を果たす可能性は極めて高いと考えます。
対照的に、アメリカには一世帯に到達するだけで数時間を要する地域も存在します。
日本は高齢化の影響を最も深く受ける国となるであろうと確信しているため、私たちの在宅ケアの知見と経験を世界と共有する強い責任を感じています。

日本のモデルが特に注目に値するのは、個々の専門家の質だけでなく、チームベースの学際的連携の強さにあります。焦点は個人の卓越性ではなく、私たちが共に成し遂げられることに置かれているのです。
日本の医療システムには、今後の課題に対処する力と可能性が依然としてあると確信しております。
そして私は、日本発の革新と希望の物語を世界と共有することに尽力してまいります。

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