メンバーインタビュー

エネルギー続く限り暴走したい! 久保田恵巳医師インタビュー

2022年、強い感染力を持つオミクロン株が流行するのに伴い、小児の新型コロナウイルス感染症の患者が増加。
小児患者は、無症状または比較的軽症で良好な経過を辿る症例が多い反面、重篤化し死亡する例の報告もあり、予断を許さない状況が続きました。

そんな中、フレキシブルな姿勢で小児医療に向き合って来られた、久保田医師にお話を伺いました。

久保田 恵巳 医師/くぼたこどもクリニック院長(大阪府大阪市生野区)
目次

奇跡的な「人と人とのつながり」でKISA2隊と出会う

KISA2隊のメンバーとは、奇跡的なつながりがあります。KISA2隊のメンバーである山寺先生(菜の花診療所/生野区)が、私のクリニックから徒歩3分くらいの場所で開業されており、私が開業して以来の心の友なんです。

小林先生(葛西医院/生野区)は数年前に大阪小児科医会に小児在宅の実習に来てくれて、宴会まで参加してくれていたので以前からの知り合いでした。

奥先生(おく内科・在宅クリニック/旭区)とは、プライマリ・ケア連合学会のICT委員会で「オンライン診療ことはじめ」というYouTube動画撮影にゲスト出演してくださったのが初めての出会いです。その動画撮影中に、チャットで奥先生にKISA2隊入会のお誘いを受けたのがきっかけとなりました。

初めての任務は患者さんのお母さんの心のケア

小児の自宅療養者で、不安の強いお母さんに対して子供のコロナの特徴について説明するという依頼でした。奥先生が現場で往診中に、LINE動画で私に繋いでもらってオンライン診療したのが最初の仕事でした。

小児科医はプライマリーケア

小児科はプライマリーケアなので、なんでもやりますっていうのをモットーにしています。すべての子どもの困りごとの窓口に、という思いを大事に心の問題から生死に関わることから在宅看取りからなんでも対応しています。

もちろん私が見れない時もあるので、その場合診れる人にしっかり繋ぎます。とにかく窓口としてはオープンにしていたいと考えています。

少子化だからこそ、小児科は生き残っていかないとっていう経営の視点もあります。経営も安定しないと、患者さんにも優しくできないですしね。KISA2隊の強い心だけではできないので、両方の視点を大事にしています。

スイス旅行中の患者さんとオンライン診療も対応

第7波、8波ではお風呂に入る直前、急に依頼の電話があったこともありましたね。コーディネーターさんから電話かかってきて、「ごめん、今お風呂に入ろうと思ってほぼ裸だから、5分後にもう一回かけてもらっていい?」っていうのもありました。(笑)

あとはスイス旅行中の患者さんとのオンライン診療ですね。

看護師さんから「先生行けますか?」ってLINEで依頼がきました。その時は通常どおりのオンライン診療を実施しましたが、こんな経験はKISA2隊でしかできないし、私的には歴史的なエピソードになりました。

やはり頼りにされるのは嬉しいですね。なんでもやろうという信念があるので、言われたら全部引き受けます。外国でも必要であれば行きます。学会に参加したり、製薬会社に意見交換としてミーティングに招待されたり、必要であればどこでも行きます。

チームで患者さんを支えながら社会課題に向き合う、しなやかな集団

KISA2隊のメンバーとは、いいものを一緒に全力で追いかけるチームだと感じてます。スイスのオンライン診療のように、なかなか経験できない事もやることができて、仕事の幅も広がったし、やりがいになっています。

また、臨機応変に柔軟に対応できる人たちが集まっているのでとても仕事がやりやすいですね。KISA2隊は当初は正直、実際に何やってるかよくわかってなかったんですが、できることはやりますよって言いました。そういう一歩を踏み出せる人たちが集まってるんだなと働いているうちに感じました。

そして、職種の分け隔てが基本ない人たちが多いので、チームで患者さんを支えながら社会課題に向き合うという形になってるのだと思います。

今後はコロナだけの話ではなくて、コロナ以外のそこにまつわる社会問題に関しても、KISA2隊メンバーは同じマインドでやっていけるから、多分うまくいくのではないかと期待してます。

何かあったときにはすぐ集まって、しなやかな動きができるように、この繋がりを維持してほしいです。私の関わっている仕事も、どんどんKISA2隊と連携していきたいと思います。

救える人が救えない未来を避けたい!

感染症治療、予防接種、オンライン診療、心理診療、在宅医療、最近ではウクライナ医療支援など、まだまだやりたいことがいっぱいあります。エネルギーが続く限り暴走したいですね。

ウクライナ医療支援はKISA2隊と一緒にできればと思っています。ウクライナは現状かかりつけ医もないし、糖尿病や高血圧の患者さんはいっぱいいると思うのですが、何も治療ができずにいる人がたくさんいると思います。それをちゃんと医療につなげようという仕事を今プロジェクトで考えてます。

また、コロナ対応で身をもって実感たことですが、ワクチン接種はとても重要です。この事を分かりやすく、丁寧に正確に伝えていくことに力を入れたいと思ってます。

私のような一般開業医だけでは信憑性が薄いので、アカデミックな先生とタッグを組んで、「ここのグループの言うことは正しいよね」っていう組織を作っていきたいです。

根本には救える人が救えない未来を避けたいという気持ちが原動力になっています。患者さんを正しい方向性に導いてあげるというのが、私たちの第一線に立つ医療者の役目ではないかと自負しています。


久保田先生、本日はありがとうございました!

左から:インタビュアー 増井、久保田医師

施設情報

施設名: くぼたこどもクリニック
所在地: 〒544-0033 大阪府大阪市生野区勝山北2丁目6-18
電話: 06-7894-1100
HPhttps://www.kubota-kids.com/

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