多法人・多職種連携力で地域を支える谷合医師の挑戦 – KISA2隊との出会いで踏み出した一歩 【KISA2隊 秋田】
秋田県由利本荘市で開業している谷合医師。普段から大事にしている多職種連携の力を発揮しながら、一般診療と並行してコロナ対応も積極的に実施していました。
糖尿病クリニックを経営する立場上、コロナ感染拡大時には迷いもあったとの事。転機となったKISA2隊との出会いや、地域の課題へ果敢に立ち向かっているお話を伺いました。
社会人経験後に、日本医科大学を卒業し医師免許を取得。秋田県由利本荘市にある本荘第一病院、JA秋田厚生連由利組合総合病院に勤めながら糖尿病専門医を取得。その後『たにあい糖尿病・在宅クリニック』を開業。
社会人から医学部進学へ、内視鏡・地域医療・糖尿病専門医の多彩なキャリアを積む
東京の大学を卒業し、一度社会人の世界を経験した後、26歳で医学部への道を選びました。卒業して最初に研修に赴いたのは千葉のがんセンターで、いきなり看取りを経験。後期研修では盛岡の県立病院を希望し、以前から関心のあった内視鏡の技術を学びました。
また、岩手県立高田病院でのへき地医療研修で、地域医療に力を入れられている石木先生との出会いがあり、キャリアを方向転換するきっかけになりました。
その後、腹腔鏡で有名な秋田県由利本荘市の本庄第一病院より声がかかり、勤務することに。行ってみると、糖尿病を診る医師が辞めてしまって困っていると聞き「じゃあ、私がやります」と手を上げました。
たった1人でいきなり2,000人もの患者さんを担当することになったので、非常に大変でしたが、多くの臨床経験を積んだおかげで専門医をすぐに取得。より幅広い糖尿病の診療をするため、JA秋田厚生連由利組合総合病院に移り、5年ほど勤務しました。
コロナ禍のクリニック開業と葛藤 – KISA2隊との出会いで踏み出した一歩
2020年の春、「たにあい糖尿病・在宅クリニック」を開院しました。しかしその頃、秋田にコロナ感染者が出始め、世間には未知の病気への不安が募っていました。
最初は感染者数が少なかった秋田県でも、状況は日を追って悪化していきました。地域の多法人・多職種の人たちと一緒にKISA2隊の門を叩いてコロナ対応の方法を学び、前もって準備していて良かったと思います。
後に秋田でも感染拡大やクラスターが発生した際、その時の知識を使って対応することができたので、慌てずに済みました。施設クラスターには大阪からも支援に来て頂き、ありがたかったです。
最初の頃、うちは糖尿病クリニックなので、コロナ患者は見てなかったんです。患者にうつったらまずいと思い、発熱患者さんは出入り禁止にしていました。
とはいえ、正直なところを言うと、私自身もコロナが怖かったというのがあったと思います。患者さんを言い訳にして、逃げていたんですよね。そんな時、テレビにKISA2隊大阪の小林隊長が出ていて、コロナと向き合っている姿を見てハッとしました。自分は何をやってるんだろう、と。
コロナだって、しっかり感染対策をしたら問題ない。 未知の病気に対して怖がっていた自分を自覚し、KISA2隊の先生方に続いて、自分も地域の医療と向き合おうと腹を括りました。結果的には患者さんも増えましたし、経営的な安定にも繋がったと思います。
アフターコロナにおける挑戦 – 地域へのさらなる貢献とKISA2隊スキームの維持と継続
長らく大切にしてきた多職種連携の活動は、コロナの影響で一時的に停滞していました。しかし、現在はその活動を再開し、更に多くの人々と連携し、スキルアップを図っています。
また、開業から3年が経ちましたので、買い物難民の方のお手伝いや社会的弱者を支援する取り組みなど、医療以外でも地域に貢献していきたいですね。
東北には通信環境の限られた場所が多いことが課題なのですが、先日、KISA2隊からスターリンクの提供を頂いたので、適切な医療サービスを提供できるように活用していきます。
KISA2隊が誕生して活動した意義は大きいと思います。せっかくできた全国ネットワークなので、コロナが終わった後も地域連携やシステムが次に活かされるように残って欲しいです。
パンデミックはまた別の形で発生するかもしれないですし、災害や地震の可能性だってあります。その時、すぐにチームで動けるためのKISA2隊のスキームや組織を継続して頂けることを願っています。
谷合先生、本日はありがとうございました!
施設名: たにあい糖尿病・在宅クリニック
所在地: 〒015‐0051 秋田県由利本荘市川口字高花105-3
電話: 0184-74-7240
HP: https://taniai-diabetes-homecare.jimdofree.com